不在・・・そして発見
午後18時25分 再び進藤ヒカルの部屋
「進藤!帰ってるか?!」
インターホンを押してみるが、返事がない。
ボクはとにかくこの大荷物を置かせてもらおうと、合鍵で部屋の中に入った。
進藤の姿はやはりどこにも見当たらない。
部屋の中は、ボクが今朝出て行ったままの状態になっていた。
ボクは荷物を置いて、椅子に腰掛けた。
思わずため息をつく。
一体、どこに行ってしまったんだろう?
進藤は。
ものすごく不快な想像が脳裏をよぎった。
いや、まさか、そんなはずはない。
誰かと誕生日を過ごすような暇があるなら、それはボクであるはずだ。
このボク以外の誰になるはずもない!!
きっと、進藤はものすごく忙しいのだ。
今日も世間一般では休日だが、もしかすると急な仕事が入ったのかもしれない。
ありうることだ。
仕事なら、電話もそうできないだろう。
携帯を何度鳴らしても、反応がないことも合点がいく。
いきなり、本当に突然、最悪の事態が頭に浮かんだ。
そう、たとえば・・・・・
ボクはしばらく愕然とした。
先輩とはいえ、あの人は絶対に油断ならない人だ。
以前からどうも、進藤を狙っているような気がしてならないのだ。
ことあるごとに進藤を研究会に誘ったり、果てには怪しい雰囲気で食事に誘ったりまでしている。
そしてあの人なら、持ち前の情報網をフル稼働させて進藤の誕生日くらいやすやすと調べ上げるに違いない!!
不快極まりない想像が頭をぐるぐると回りだす。
こうしちゃいられない。
こうしてじっと待っている間にも、何が起こっているか全くわからないのだ。
やはり進藤を、探しに行かなければ!
立ち上がった拍子で勢いよく倒れる椅子を横目に無視して、ボクはさっき入ってきたばかりのドアへと足早に向かっ
た。 何か、寝息のような音が耳をついた。
耳を澄ませていると、風もないのに布が擦れるような音が聞こえてくる。
・・・・・・・?
一体どこから・・・・・・。
見渡すが、どこにも何も動く気配はない。
気のせいだろうか?
踵を返し、再びドアの方へ向かおうとしたが、その瞬間。
かすかだが、やはり人の吐息に聞こえなくもない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・押入れからだ!!
ボクはまさか、と思いながら勢いよく押入れの戸を開けた。
そして思わずその場にへたり込む。
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