真相
進藤ヒカルの部屋
いきなり射した明かりに驚いたのか、進藤が眼を擦りながらゆっくりと起き上がってくる。
「ん・・・・・なんだよ塔矢・・・・もう起きたのか・・・・?」
「・・・・・・っ。キミは・・・・・!!」
一瞬声が出ない。
しかし、その次の瞬間には、言葉が堰を切ったかのようにものすごい大きさで口から飛び出した。
「・・・・・えー・・・・?いいじゃん、どこで寝ても・・・・。」
まぶしげに瞬きしながら、進藤はどうにも腑に落ちない、というような顔をした。
「まさかとは思うが、キミはずっとここにいたのか・・・・?」
「ずっとって・・・・うん。最近寝不足が続いてたからなー。久々によく寝たぜ。塔矢、今何時?」
進藤はボクの腕を掴んで、その腕にはめられた時計に目を向けた。
「うわっ、なんだよ、6時?!・・・・朝、じゃなくて夕方だよな・・・・。うわー、寝過ごしたー。」
寝過ごした、というわりにはのんびりとした口調で、話す進藤。
「・・・・キミはっ、ボクが、どれだけ・・・・・・。」
ボクは言葉を紡ぎだそうとしたが、なかなか思うようにいかない。
どうこの気持ちをどう伝えればよいか、考えがさっぱりまとまらなかった。
進藤はいつだって、ボクの心をかき乱す。
やがて、進藤がボクを見つめながらおもむろに口を開いた。
「・・・・だってさ、オマエ・・・・。昨日飲み過ぎて、寝ててもすっげー苦しそうに寝返りばっか打ってさ・・・・。何度も吐
きに行ってたこと、覚えてるか?」 「え・・・・・。」
記憶にない。
「すごかったぜー。オマエのファンにはとても見せられねー姿だったな。」
・・・・・・・ボクはそんなに酔いつぶれていたのか。
進藤に介抱させてしまうほどに。
今朝方抱いていた自己嫌悪感が再びボクの心を支配し始めた。
「覚えてないか。そうだよな。オマエ、すっげーうなされてたし。まったく、いくらオレの誕生日だからってそんな苦しく
なるまで飲まなくてもよかったのにさ。あんまりオマエがベッドで辛そうに寝返りとか打ってるから、オレが横にいたら 邪魔で寝返り打ちにくいだろうなって思って押入れで寝てたんだよ。やっぱこーいう時のために、ソファーの一つくらい は必要だな。・・・・・・言っとくけど、オマエが落ち着くまではそばにいてやろーと思って、オレ朝方まで起きてたんだ ぜ。」 「・・・・・・。」
そうだったのか。
ボクが酔いつぶれていたせいで、進藤を押入れに追いやってしまっていたのか。
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