出発
9月20日 午前9時43分 進藤ヒカルの部屋
どうやら二日酔いのようだ。
ボクは鈍く疼く頭を抑えながら、進藤が寝ていたはずのすぐ横の空間を見つめた。
隣りの枕に手を触れてみる。
・・・・・もう冷たい。
どうやら、進藤はもうだいぶ前にベッドを出ていってしまったようだ。
時計を見る。
今は・・・・9時40分を回ったところか。
いつも6時半には嫌でも目が覚めるのに、今日に限って寝過ごしてしまった。
今日は進藤の誕生日なのに!!
朝から予定があると、言っていただろうか?
覚えていない。
それよりも頭が疼く。
一体進藤はどこへ行ってしまったんだろう?
ボクはゆっくりとまばたきをしながら、無造作に床に落ちているブラウスを手に取った。
空になったワインのボトルがテーブルの下に倒れている。
テーブルの上でもグラスが倒れたり、スナック菓子の残りが散乱していて、改めて昨日飲みすぎていたことを思い
出した。 進藤も確かひどく飲んでいたはずだ。
近所のコンビニにでも行っているのだろうか。
しかししばらく待っていても、進藤は戻ってこなかった。
進藤からの伝言が書かれているようなメモも見当たらない。
携帯を鳴らしてみたが、コール音がむなしく耳に響き渡るだけだった。
進藤はなぜ突然、姿を消してしまったのだろう。
さっぱりわけがわからない。
何か起きたのだろうか。
それにしたって、ボクに何か伝言を残していてもよいものだ。
ボクはまだキミに伝えたいことがあるのに。
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